COPD
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COPD
COPDの定義は、タバコなどの有害物質を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患で、呼吸機能検査で気流閉塞を示します。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与して起こります。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示しますが、これらの症状に乏しいこともあります。

COPDの代表的症状は、息切れです。日本のガイドラインでは、呼吸困難と記載されています。呼吸困難の程度を評価するために国際的に用いられているのは、MRC(Medical Research Council)質問票というスケールです。国際的に用いられているものを少し修正したバージョン、修正MRC(mMRC)が用いられています。
グレード0
激しい運動をしたときだけ息切れがある。
グレード1
平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある。
グレード2
息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある。
グレード3
平坦な道を100メートル程度、または数分間歩くと息切れして立ち止まる必要がある。
グレード4
息切れがひどく家から出られない、着替えなど最小限の動作でも息切れがある。
この質問をすることにより、息切れの程度が把握できます。
慢性的咳・痰(喀痰が切れにくい咳嗽をきたすことが多い傾向にあります)
などがあります
COPDの患者さんは著しくQOLが低下しますので、特に酸素療法を導入した患者さんは外出を控えてしまうためADLを低下させてしまうという懸念があります。
そこでCOPD患者のQOLスケールとして有名なのは日本ではCAT(COPD Assessment Test)質問票がよく使われます。
CAT(COPD Assessment Test)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんが日常生活でどの程度症状に困っているかを評価するために開発された質問票です。
肺機能検査だけでは分からない「息切れ」「咳」「痰」「活動性」「睡眠」「生活の質(QOL)」などを総合的に評価し、現在の病状や治療効果を確認する目的で世界中で広く使用されています。
CATは8つの質問から構成され、それぞれ0~5点で評価します。合計点は0~40点となり、点数が高いほど症状が強く、日常生活への影響が大きいことを示します。
| 項目 | 状態と点数 (0〜5) |
|---|---|
| 1. 咳 |
全く咳が出ない
一日中咳が出る |
| 2. 痰 |
全く痰は出ない
常に痰が出る |
| 3. 胸の圧迫感 |
全くない
非常に強い |
| 4. 坂道や階段での息切れ |
全く息切れしない
非常に息切れする |
| 5. 家の中での活動 |
全く支障がない
とても困難 |
| 6. 外出への自信 |
十分にある
全く自信がない |
| 7. 睡眠 |
よく眠れる
COPDのため眠れない |
| 8. 活力 |
元気いっぱい
全く活力がない |
0〜9点(影響が少ない)
COPDによる症状は比較的軽く、日常生活への影響は少ない状態です。現在の治療を継続しながら、禁煙、運動療法、呼吸リハビリテーション、感染予防(インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンなど)を続けることが大切です。
10〜20点(中等度の影響)
安定期の治療が最適かどうかを再検討する
呼吸リハビリテーションを行う
増悪を最小限に抑えるための対策を行う
喫煙などの悪化因子を再検討する
21〜30点(高度の影響)
改善の余地が充分にあり専門医への紹介並びに薬物治療の追加も考慮が必要
31〜40点(極めて高度の影響)
改善の余地が充分にあり専門医への紹介並びに薬物治療の追加も考慮が必要
CAT質問票は、患者さん自身が現在の症状を客観的に把握し、治療前後の変化を確認するための重要な評価方法です。外来受診のたびに実施することで、治療効果や病状の変化を継続的に評価することができます。
また、肺機能検査だけでは把握できない生活の質(QOL)の低下を評価できるため、COPD診療において非常に重要な指標として世界中で利用されています。
胸部単純エックス線検査
他疾患を除外し、進行したCOPDの気腫性病変および気道病変を診断・評価するのに有用です。
特徴的な所見は①肺野の透過性の亢進②肺野末梢の血管陰影の細小化③横隔膜の低位・平坦化④滴状心による心胸郭比の減少⑤肋間腔の開大が見られます。
胸部CT検査
呼吸機能検査
閉塞性換気障害を示します。
薬物治療
吸入療法が主体です。使用する薬剤は長時間作用性抗コリン薬、長時間作用性β2刺激薬、吸入ステロイド薬です。組み合わせは長時間作用性抗コリン薬もしくは長時間作用性β2刺激薬の単剤かもしくは、長時間作用性抗コリン薬と長時間作用性β2刺激薬の合剤を用います。なお近年では、それに吸入ステロイド薬を加えたトリプル製剤を使うこともあります。
在宅酸素療法
一番の目的は生存期間の延長と呼吸困難感の軽減です。
保険使用上の適用は、安静時PaO2 60mmHg(SpO2 90%)以下であることが保険適応基準です。
呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションとは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者に対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者自身が自立できるように持続的に支援していくための医療です。呼吸困難感の軽減、運動耐容能の改善、QOLの改善に有効とされています。さらに入院回数や入院日数を軽減する効果もあると言われています。呼吸リハビリテーションは、薬物療法や酸素療法に併用することで上乗せ効果があるとされています。ガイドラインでは4週間以内に急性増悪があった患者において、急性増悪を予防するために呼吸リハビリテーションを推奨しています。しかしながら、COPD急性増悪で入院した患者に対する早期リハビリテーションは、その後の再入院を減らしたり身体機能の回復を増進させたりする効果は見られないとされています。むしろ12か月時点において早期リハビリテーション群では死亡率が高いという報告もあり、現時点ではあまり急性期のリハビリテーションは頑張りすぎず、病態が落ち着けば、呼吸リハビリテーションを行うというスタンスで良いと思われます。具体的な呼吸理学療法において、1.呼吸トレーニング(口すぼめ呼吸、腹式呼吸)2.リラクセーション3.胸郭ストレッチ・呼吸介助4.排痰訓練(体位ドレナージ、 軽打法、振動法など)1から4はコンディショニングといわれランダム化比較試験においては有効性が証明されたものではありませんが、呼吸リハビリテーションの重要な構成のひとつです。重症例においてはコンディショニングに対してより大きな比重と時間をかけます。持久力・筋力トレーニングは、COPDに対しては下肢(特に歩行筋)に対するトレーニングが最も推奨されています。
栄養療法
COPD患者の栄養の指標として最も重要なものは体重です。特に日本人のCOPDは体重減少をきたすことが多いのですが、体重減少と気流閉塞は直接的に相関しているわけではありません。
高タンパク高カロリーの食事が望ましいと言われております。重要なことは総カロリー摂取量を多くすることです。
ワクチン
インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、RSウイルスワクチンなどがあります。
年齢のせいと思っていた息切れが、実はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)だった、というケースは少なくありません。見分けるポイントのひとつは、同年代の人との比較です。同じ年頃の人と歩いていて自分だけ息が切れる、以前は平気だった坂道がつらくなった、という変化があれば、肺の機能が落ちてきているサインかもしれません。特に喫煙歴のある40歳以上の方は、一度呼吸機能検査で確かめておくと安心です。
喫煙歴の長い方の咳や痰の増加は、COPDの代表的な始まり方です。目安として、1日の本数×喫煙年数(喫煙指数)が400を超える方は、リスクが高いと考えられています。たとえば1日20本を20年なら400です。COPDは自覚のないまま少しずつ進む病気ですが、早い段階で見つけて対処すれば、進行を抑えることができます。「タバコのせいだから仕方ない」で済ませず、今の肺の状態を調べてみませんか。喫煙者の約2割がCOPDを発症すると言われています。
このページに掲載しているセルフチェックをお試しください。年齢、痰がらみの咳の頻度、同年代と比べた息切れ、ゼイゼイ・ヒューヒューの有無、喫煙量の5つの質問に答えて点数を合計するだけで、COPDの可能性をおおまかに確認できます。総合点が4点以上の方は、呼吸機能検査を受けることをおすすめします。もちろん、点数にかかわらず気になる症状があれば、そのままにせずご相談ください。
以前は「一度かかったら治らない病気」と言われていました。しかし近年、COPDは炎症性の病気であることがわかり、炎症を抑えて症状を軽くする吸入薬が数多く実用化されています。壊れた肺を元に戻すことはできませんが、息切れを和らげ、悪化を防ぎ、今の生活の質を保つことは治療で目指せます。あきらめて受診しないでいる間にも病気は進みます。「治らないから行かない」ではなく、「これ以上進ませないために行く」病気だとお考えください。
大きな違いは、症状の出方と背景です。喘息は発作的に症状が出て、良い時と悪い時の波があり、夜間や早朝に悪化しやすいのが特徴です。若い方にも起こります。一方COPDは、長年の喫煙を背景に中高年で発症し、動いた時の息切れが少しずつ進んでいきます。ただ、両方の性質を併せ持つ方もいらっしゃるため、実際の見極めには呼吸機能検査やモストグラフによる気道の評価が欠かせません。どちらか気になる症状がある方は、検査で確かめていきましょう。
遅くありません。COPDの治療で最も重要なのは禁煙で、病気のどの時点でやめても効果が期待できます。気流の閉塞が軽いうちに禁煙できれば、咳や痰が減り、息切れの進行を遅らせられますし、進行してからの禁煙にも意味があります。「もう長年吸ってきたから今さら」と感じている方にこそ、お伝えしたい事実です。やめようと思った時が、いちばん早いタイミングです。
禁煙が続かないのは意思の弱さではなく、ニコチンへの依存という体の仕組みによるものです。当院では、禁煙補助薬を活用した禁煙のサポートを行っています。薬の力でタバコを吸いたい気持ちを和らげながら進める方が、自力だけで挑むよりも成功しやすいことがわかっています。これまで何度か挫折した経験のある方も、やり方を変えれば結果は変わります。診察の際にご相談ください。
紙巻きタバコより害が少ないイメージがありますが、加熱式タバコにもニコチンや有害物質は含まれており、健康への長期的な影響もまだ十分にわかっていません。COPDの治療という観点では、加熱式への切り替えは禁煙にはあたらず、吸入する有害物質をゼロにすることが目標になります。「まず加熱式に変えてから」と段階を踏むうちに禁煙の機会を逃してしまう方も多いため、完全な禁煙を目指すことをおすすめしています。
中心となるのはスパイロメーターによる呼吸機能検査です。息を大きく吸って一気に吐き出し、肺活量や息を吐く勢いを測ることで、気流の閉塞の程度がわかります。あわせて、普通の呼吸をするだけで気道の狭さを測れるモストグラフや、胸部レントゲンも行い、ほかの病気との見極めや重症度の評価につなげます。いずれも外来で受けられる検査です。くわしくは呼吸機能検査・モストグラフの各ページをご覧ください。
禁煙の継続が第一ですが、それ以外にもできることがあります。まず、受動喫煙や大気汚染など、空気中の刺激物質を避けること。次に、感染症への備えです。インフルエンザや肺炎にかかるとCOPDが大きく悪化することがあるため、ワクチン接種をおすすめしています。また、COPDでは体重が減りやすいため、栄養バランスのとれた食事も大切です。通院を続けながら、生活面も一緒に整えていきましょう。
梅屋敷さわもとクリニック 院長
澤本 修一
帝京大学医学部卒業後、都立広尾病院呼吸器科、帝京大学附属病院第二内科、社会保険都南総合病院に勤務。2002年に梅屋敷診療所を開設し、現在は梅屋敷さわもとクリニック院長として診療を行っています。呼吸器、特に気管支喘息の研究経験を生かし、呼吸器疾患やアレルギー疾患の診療に取り組んでいます。
主な資格
認定内科医・認定産業医
身体障害者福祉法指定医(呼吸器機能障害)
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