気管支喘息
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気管支喘息

気管支喘息とは別名、慢性剥離性好酸球性気管支炎と呼ばれています。気管支喘息患者の気道には、症状がない時にでも常に炎症が存在し、様々な要因(アレルゲン、気候、気圧、気温)などで、咳、喘鳴、呼吸困難が生じる病気です。



気管支喘息患者さんの気道は常に炎症があり、そこに様々な刺激が加わることにより、咳や喘鳴、呼吸困難という症状が出現するのです。

このイラストは、気管支喘息を海に浮かぶ氷山にたとえたものです。水面から見える氷山は、小さいけれども、水中を見ると巨大な氷山の本体が沈んでいます。まさしく、気管支喘息の治療の目的は、沈んでいる氷山を小さくすることです。そのためには、吸入ステロイドは欠かせない薬剤です。

このイラストは、気管支喘息の治療を火事の消火活動にたとえたものです。
炎症=火事、吸入ステロイド=消防車、気管支拡張薬=バケツ。消火の際に大切なことは、出火元である大きなビルの消火です。
この消火活動にたとえられるのは、気管支喘息の治療で使用される吸入ステロイドです。一方、小さな個人宅の消火にたとえられるのは、気管支拡張薬です。一時的に気管支拡張薬で症状が軽快しても、肝心かなめの火元のビルの消火が終わっていなければ、再度火の粉が降りかかり、小さな家は出火します。バケツでいくら消火しても、ビル火災は鎮火しない。このイラストが示すがごとく、気管支喘息の治療に関しては、吸入ステロイドはKey Drugです。常に、くすぶる火種が復活しないように、症状がない時にでも毎日の吸入ステロイドの使用が不可欠です。

このイラストは、気管支喘息を氷山にたとえたもので、海面から見える氷山は、全体のほんの一部で、肝心かなめの本体の大半は水中の中です。この水中の氷山が気管支喘息の正体で、肝心なのはこの部分の治療です。
どちらも気道の炎症が背景にある病気ですが、症状が異なります。咳喘息は咳だけが続く状態で、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴や呼吸困難はありません。一方、気管支喘息では咳に加えて喘鳴や息苦しさが現れます。咳喘息は気管支喘息の前段階と考えられており、適切な治療を受けない場合、成人では約30〜40%が気管支喘息に移行すると言われています。
大人の気管支喘息は、「完治」よりも「寛解」を目指す病気と考えられています。寛解とは症状がなく、薬も不要な状態が続くことです。ただ、治療によって症状のない生活を送ることは十分に可能です。気管支喘息は海に浮かぶ氷山にたとえられます。咳や喘鳴といった目に見える症状は水面の上に出た一部にすぎず、本体は水面下にある気道の炎症です。治療の目的は、この水面下の氷山を小さくしておくこと。発作のない状態を保てていれば、日常生活で病気を意識せずに過ごせます。「治す」より「発作が起きない状態を続ける」ことが、喘息治療のゴールです。
あります。喘息は子どもの病気というイメージを持たれがちですが、大人(高齢者も含む)になって初めて発症する方は珍しくありません。風邪をきっかけに咳が長引き、調べてみたら喘息だったというケースや、子どもの頃の喘息が大人になって再発するケースもあります。当院を受診される喘息の患者さんの中には、成人(高齢者も含む)になって初めて症状が出現した方もいらっしゃいます。長引く咳やゼーゼーする感じに心当たりがあれば、年齢に関係なく一度ご相談ください。長引く咳の治療を曖昧にすることによって喘息症状が出現する方もいらっしゃいます。長引く咳が気管支喘息の症状であることを、診断できることが重要です。当院を慢性咳嗽のため受診された方の中で高齢の方が数名いらっしゃいましたが、長引く咳嗽の診断がなかなかついておらず、当院で気管支喘息の診断がついた方もいらっしゃいます。その方々は、今も通院され、大変感謝のお言葉をいただいています。
喘息の治療で一番大切な質問です。気管支喘息の気道には、症状がない時でも慢性的に炎症があります。これをビル火災にたとえると、火事は気道の炎症。吸入ステロイドは、火元のビル火災を消す消防車。発作の時に使う気管支拡張薬は、小さな民家に飛び火した炎を消すためのバケツです。バケツで民家の消火活動に成功しても、火元のビルに火種が残っていれば、また火の粉が飛んできます。症状が消えた時こそ、火種をくすぶらせないために毎日の吸入ステロイドが欠かせません。自己判断でやめてしまうと、再び発作を繰り返す原因になります。
「ステロイド」という言葉から強い薬を想像される方は多いのですが、吸入ステロイドは飲み薬のステロイドとは性質が異なります。吸入した薬は気道に直接届くため、ごく少ない量で効果が得られ、全身への副作用は、非常に少ない薬剤です。気をつけたいのは、口の中に残った薬による声がれ、のどの違和感・刺激感、口腔内カンジダ症などで、これは吸入後のうがいでほぼ防げます。正しい使い方は治療効果を大きく左右しますので、当院では薬局とも連携し、吸入の手順を丁寧にご説明する体制をとっています。副作用を少なくするためにも吸入ステロイドの使用は食前に行ってください。
症状が安定した状態が続けば、薬の量や種類を段階的に減らしていくことは可能です。ただし、順番があります。まず治療で発作のない状態をつくり、それを一定期間保てたことを確認してから、少しずつ減らしていきます。症状が消えてすぐの自己判断での中止は、再発のいちばん多いパターンです。減らすタイミングは、診察と検査で気道の状態を確かめながらご提案していますので、「そろそろやめたい」というご希望も遠慮なくお聞かせください。
ダニやホコリ、花粉などのアレルゲンのほか、気候や気圧、気温の変化も発作の引き金になります。台風の接近時や季節の変わり目に咳がひどくなる、というのは喘息の方によくあるパターンです。ほかにも、風邪などの感染症、タバコの煙(受動喫煙を含む)、運動などが症状を誘発します。女性は、生理と関連する方もいます。ご自身の悪化のきっかけを知っておくと、予防や早めの対処につながります。診察の際には、どんな場面で症状が出やすいかもぜひ教えてください。
当院では、呼気NO検査とモストグラフを中心に行っています。呼気NO検査は息を吐くだけでアレルギー性の気道炎症の有無がわかる検査、モストグラフは普通の呼吸を繰り返すだけで気道の空気の通りにくさを測れる検査です。どちらも短時間で済み、体への負担はほとんどありません。これに呼吸機能検査や血液検査、問診の内容を合わせて診断します。一つの検査で診断がつくわけではなくてあくまでも診断するための手助けのひとつだと思ってください。特に呼気NO検査並びにモストグラフだけでは診断をすることはできません。
最近では、呼気NO検査のみで喘息の診断をされるところもあるようですので要注意です。
検査の内容は、呼気NO検査・モストグラフの各ページでくわしくご紹介しています。
続けられます。妊娠が喘息に及ぼす影響は、改善するが約1/ 3、変化しないが約1/ 3、悪化するが約1/ 3と言われてきました。しかし近年では「必ずしも正確に三等分ではない」とされており、妊娠前に重症だった患者ほど悪化しやすいことがわかっています。ですので、妊娠を機に自己判断で吸入薬をやめてしまうことはやめてください。発作が起きて呼吸が苦しくなると、お腹の赤ちゃんに届く酸素にも影響しかねません。母体の低酸素血症は、胎児発育不全、胎児の低酸素血症、低出生体重児、早産、妊娠高血圧症候群を引き起こすと言われています。喘息発作でお母さんの酸素が不足すると、赤ちゃんへの影響は大きいため、安全性が確認されている吸入薬は続けることをお勧めします。吸入ステロイドに関しては、妊娠中でも使用が可能で、治療を継続することが基本とされています。妊娠がわかった時、あるいは妊娠を考え始めた時点で、お薬の内容を一緒に確認しますので、やめる前にまずご相談ください。
標準的な吸入治療を続けても発作を繰り返す場合、重症喘息の可能性があります。現在は、炎症の原因に直接働きかける生物学的製剤という注射のお薬があり、当院でも治療の選択肢としてご提案しています。「この状態と付き合っていくしかない」とあきらめる前に、治療を見直す余地がないか、一緒に確認させてください。くわしくは「重症喘息の治療について」のページをご覧ください。標準的な吸入療法を続けても発作を繰り返す場合はいくつかの原因があると思われます。最も重要なことは、その患者さんが本当に喘息かどうかを再確認することです。喘息以外の病気がないかどうかを確認することが最優先です。それが確認できた後に次に確認することは、吸入アドヒアランス・吸入手技です。吸入アドヒアランスとは、毎日指示通りに吸入しているか、勝手に中止していないか、症状がない日にも継続しているかどうかということです。吸入ステロイドは苦しくなった時だけ使う薬剤ではありません。毎日継続することがもっとも重要です。この吸入アドヒアランスが守れていない方は潜在的に多いような気がします。吸入手技に関しては医師もしくは薬剤師に指導を受けるべきです。さらにデバイスが患者さんに合ってるかどうかを確認することも重要です。デバイス(吸入器の種類・器械)にはいくつかの種類があります。具体的には、粉の感触が嫌いとか、吸った気がしないと訴え、中断する方が目立ちます。さらにドライパウダータイプ(粉)の吸入ステロイドは、ある程度の吸入スピードが必要で速く、力強く吸入することが重要です。吸入スピードが遅い方は、エアロゾルタイプの方が合ってるかもしれません。もう一つは吸入薬に加える抗喘息薬の選択が間違っているかもしくは足らないかどうかを確認すること。それでもコントロールが上手く出来ない方は、増悪因子を探し出してその対策をするということです。増悪因子の中の環境因子は、重要です。喘息を悪化させる環境を改善できなければ、コントロールは困難です。ただし、自然環境の因子に関しては避けることができませんのでご自身で用心するしかありません。以上を行っても、発作を繰り返す場合は、生物製剤という最終兵器があります。わたくしは今までここまでやって喘息がコントロールできなかった患者さんには出会ったことはありません。最後に、患者自身にも重症化因子が存在することも重要です。最後に、安易に長期の経口ステロイド治療に移行するのは避けなければいけないことです。
梅屋敷さわもとクリニック 院長
澤本 修一
帝京大学医学部卒業後、都立広尾病院呼吸器科、帝京大学附属病院第二内科、社会保険都南総合病院に勤務。2002年に梅屋敷診療所を開設し、現在は梅屋敷さわもとクリニック院長として診療を行っています。呼吸器、特に気管支喘息の研究経験を生かし、呼吸器疾患やアレルギー疾患の診療に取り組んでいます。
主な資格
認定内科医・認定産業医
身体障害者福祉法指定医(呼吸器機能障害)
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